鹿児島県の無形民俗文化財に指定されている瀬戸内町由井の豊年祭は毎年旧暦の8月15日に行われる。今年は9月12日がその日であった。
この祭りは稲作を中心とした農耕儀礼が進化したものと思われる。米作りやその収穫にかかわるユーモラスな寸劇は多くは仮面を着けて演じられる(あるいは踊られる)。また奉納相撲も祭りの中心を占めている。
今日米の大半は本土に依存している。祭りに欠かせない大藁縄は、祭りの広場に隣接する由井小中学校の水田から得られた藁を使用している。(写真に見るように、悪霊を表す獅子が切断した縄を力士たちが修復する。この縄はまた土俵にも使われる。)若者が少ないので、祭りの維持は大変だと思われる。盛時には200人を超す生徒がいたこの学校も、現在の生徒数は9人だという。
なお、最後の写真は由井集落の浮き桟橋で、潮の干満に応じて上下に遊動する構造になっている。小さな村にふさわしい、環境に優しい仕掛けではないだろうか。