12月半ばから2月頃にかけて山地の木々の間でひっそりと咲くツツジの仲間にサクラツツジがある。奄美では「ヤマザクラ」、沖縄では「ヤマザックァ」と呼ばれることもあるようだが、花冠の上弁内側に紅い斑点が多数あり、れっきとしたツツジ科の花である。
しかし、寒い時期山路で出会う淡いピンクを帯びた清楚な花々は確かに桜のように見えなくもない。(とくに花びらの白いものはシロバナサクラツツジといって区別することもある。)田中一村もこの花が気に入っていたようで、一幅の絵に描いている。
分布地は四国、南九州、種子島、屋久島、奄美、沖縄、台湾に及ぶが、奄美以南と違って花期は4,5月とされている。なお、樹幹には独特の凹凸やくびれがあり、昔は床柱に利用した家もあったようだ。
写真@ 上弁の内側に紅い斑点があるのでツツジの仲間。
写真A 真冬に咲くツツジは珍しいのでは?
写真B 遠くからは桜のように見えなくもない。
写真C くびれの多い幹が床柱に使われたことも。