アダンはトカラ列島以南に分布するタコノキ科の植物で、奄美諸島の海岸線を縁取り、防潮林として役立っている。かつては海辺の村ならどこでも見られたが、コンクリートの護岸やテトラポッドで固められたところではほとんど失われてしまった。しかし集落のない砂浜ではまだまだ健在で、自然の防波堤として機能している。
奄美大島の場合、集落の海岸に昔ながらの立派なアダン林が存在するのは、歌手元ちとせの出身地である嘉徳くらいではないだろうか。手近なところでは、サーファーに人気の高い手広海岸や用岬(笠利崎)の海辺にも長大なアダン林がある。やたらに「開発」しないで大事にしたいものである。
アダンは雌雄異株で、夏頃白っぽい花を咲かせ、実は2年越しで成熟するようである。子供の頃オレンジ色に熟した実を食べたことがある。甘いには甘いが、喉がかゆくなった記憶がある。爛熟した実はやがて落下してバラけ、オカヤドカリなどの餌となる。
写真@ 成熟したアダンの実
写真A アダンの花
写真B アダンの林は天然の防潮林
写真C 手広海岸のアダン林ベルト