◇奄美大島南部の港町古仁屋から清水(セイスイ)、嘉鉄(カテツ)、蘇刈(ソカル)の村々を経て太平洋側にでると、そこはホノホシ海岸である。奄美諸島は珊瑚礁が発達しているため白砂の海岸が多いが、ホノホシの沖合には珊瑚礁が無く、太平洋の荒波が直接海岸に打ち寄せるので、波に洗われて角が取れ丸みを帯びた石が多い。それにしてもこぶし大から手のひら大の丸石が海岸全体を埋め尽くす風景はユニークで壮観というほかはない。
◇磯には大小の荒々しい岩が点在していて、風景の野性的な印象を強めている。(自然のトンネルがうがたれた岩もある。)住用町の青久(アオク)海岸には砂利と丸石が混在している。そこからさほど遠くない瀬戸内町嘉徳海岸は広大なグレイの砂浜である。いずれの沖合にも珊瑚礁は無いが、どうしてホノホシ、嘉徳、青久の違いが生じるのか不思議である。
◇ホノホシ海岸には出来れば満潮時に行くとよい。荒波が波打ち際の石を転がすときに立てる響きがなんとも心地よいのだが、干潮時にはどうしても波の力が弱まり、響きの魅力もそがれてしまうからである。