筆者:別府厚生
  1938年東京生まれ。少年時代と1974年以降、奄美大島在住。
  趣味は写真撮影、ヴィデオ撮影、釣り、囲碁等。














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イジュ


今年の奄美の梅雨入りは5月22日と発表された。梅雨の時期に奄美の山野を彩る野趣豊かな花にイジュがある。奄美諸島と沖縄諸島に分布する固有種で、ツバキ科の高木である。樹高は20メートルにも達する。材が堅くシロアリにも強いので、昔は建築材に利用された。とくに高倉の柱にはイジュが多く使われた。
 
 密集する黄色い雄蕊(おしべ)を5枚の白い花弁が取り囲む花はほんのり甘い香りがするので、アサギマダラをはじめとする蝶やさまざまな昆虫が集まってくる。かつて沖縄産のイジュの蜂蜜が売られているのを見たことがあるが、食べたことはない。どんな味がするのだろうか。
 
 昔はイジュの皮を粉末にして魚毒に利用したという。干潮時にサンゴ礁の小さな潮だまりなどで魚を捕るのに使ったわけである。