筆者:別府厚生
  1938年東京生まれ。少年時代と1974年以降、奄美大島在住。
  趣味は写真撮影、ヴィデオ撮影、釣り、囲碁等。














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サシバ


◇10月も中頃になると、‘ピックイー’というようなかん高い鳴き声が聞こえてくる。「あゝ、もうサシバが渡ってきたんだ。秋なんだ」と実感する瞬間である。
 
◇サシバはカラスほどの大きさの鷹の仲間で、夏鳥として北海道を除く本土で繁殖し、秋に奄美以南の島々や東南アジアに渡る。奄美では10月半ばから4月半ば頃まで見られる。
 
◇とくに野鳥に興味をもたない人でも、畑の周縁の木の上や電柱のてっぺん、電線などに止まり、じっと辺りを見下ろしている姿を目撃したことがあるはずである。バッタ、カエル、ネズミ、トカゲ、蛇、そしてときには小鳥まで捕食するが、獲物を求めて眼光鋭く周辺を見張っている姿はなかなか精悍で迫力がある。
 
◇つい先日、喜瀬から赤尾木方向に車を走らせていたとき、一屯集落の近くで車の前方を不意にサシバが横切った。路肩の草むらに降りたと思った次の瞬間には、爪でトカゲを捕らえてもう飛び立っていた。初めてサシバの狩りの瞬間を間近に見て感動した。