鳥のように自在に空を飛べたらという人類古来の夢をいとも楽々と叶えている人たちがいる。
多少の風のある週末など、赤尾木の太平洋側の海岸 −通称ヴィラ・ビーチ−
を通りかかると、色とりどりのパラグライダーが優雅に空中を浮遊しているのを見ることができる。鳥の目になって紺碧の海原や緑の山野を見下ろす感覚はどんなものだろうか。
重力のくびきを断ち切って鳥になるためには、なにがしかの初期投資(翼や装身具など)と多少の勇気と相応の訓練は必要であろう。しかし、紅葉の北海道の高山を飛んだり、シルクロードを空撮するのと違って、われらの鳥人たちは動力を使わないので、いたって経済的で平和的なスポーツといえる。風さえとらえることができればとくに急な斜面がなくても離陸可能なところもいい。
ただし、操縦を誤ると予想外の危険な所へ風に流されることもある。ある日、赤尾木の畑にいたとき、近くの山裾にパラグライダーが不時着するのを目撃した。楽しみと危険は隣り合わせであるから、鳥人たちは気をつけたい。