筆者:別府厚生
  1938年東京生まれ。少年時代と1974年以降、奄美大島在住。
  趣味は写真撮影、ヴィデオ撮影、釣り、囲碁等。












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【マングローヴ林】

 役勝川と住用川の合流するデルタ地帯に広大なマングローヴ林が広がる。71ヘクタールの広さがあり、沖縄県西表島のそれに次ぐ大きさを誇る。マングローヴ林を構成する樹木は10種類以上もあるが、代表的なものはメヒルギとオヒルギである。
 
 写真@はメヒルギを示す。6〜7月頃白い花を咲かせ、胎生果実は枝に付いたまま1年近くをかけて棒状に成熟し(20〜40cm位)、やがて落下する。泥砂に突きささり、そこでそのまま成長するものもあれば、波に運ばれて他の場所に着生するものもある。
 
 写真Aはオヒルギが川の両岸に迫り、天蓋を形成している様子を示す。満潮時にオヒルギのトンネルをカヌーで通過するのも楽しいものである。
 
 マングローヴの湿地には多彩な生物が住んでいる。干潮時の干潟には無数のミナミコメツキガニ(写真B)が姿を見せる。カニ類は横歩きをするのが普通であるが、このカニは前歩きをするという特徴をもっている。泥を口に運んで有機物を濾して食べる。驚くと素早く泥の中へもぐってしまうので、観察するには双眼鏡か望遠鏡が必要である。