形や色が美しいとか匂いがいいとかいうのではないが、一度見たら忘れられない花がある。イルカンダまたはウジルカンダと称されるマメ科の蔓(つる)性植物の花である。
3〜4月頃、高木を枝分かれしながら這い上がった無葉の太い枝から房状の花序を垂らし、暗紫色から褐色をおびた花を鈴なりに咲かせる。花の密集した様子はブドウの房のように見える。葉は3出複葉で、お世話になっている木々のてっぺんに出て陽光を浴びる。
分布は奄美諸島と沖縄諸島が中心である。私がこの風変わりな花を見たのは住用町の摺勝(すりがち)の山裾と西仲間の川岸においてであった。